【2023年12月21日 今日の富士山】

おはようございます。
風が強くぐっと冷え込んだ朝。寒すぎてなかなか布団から出られなかったです。
地域によっては寒波の影響が出ていますね。路面凍結などには十分注意してください。
そんな今日は快晴で富士山全体が綺麗に見えています^^
宝永山付近の山肌に、薄く雪が積もったようで白くなっているのが分かります。
山頂はマイナス19℃。もっと積もってもいいような…。
しばらく晴れが続く予報なので、化粧直しはまだ先になりそうですね。
忙しい時期ですが、体を休める時間も確保しながら頑張っていきましょう!
それでは今日は“年末年始に役立つ漢方薬”について書いていきます。
年末年始は忘年会や新年会などの集まりが増え、コロナ禍での自粛の反動から飲みすぎてしまうこともあるのではないでしょうか。
二日酔いに効能がある漢方薬もあるのでぜひ活用してみてください。
なかでも代表的な3つの処方「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」と「五苓散(ごれいさん)」「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」をご紹介します。
二日酔い対策としては、飲酒前に黄連解毒湯を、飲酒後に五苓散を服用するのがおすすめ。どちらも健康保険が適用されている漢方薬で、ドラッグストアや薬局にも置いてあります。また、この2つの処方を合わせた内服液「五苓黄解(ごれいおうげ)」も商品化されています。
お酒を飲む前のほうがよいですが、帰宅後に服用しても翌日のイヤな二日酔いの症状はかなり軽減されます。
黄連解毒湯の効能は以下のようになっています。
(効能)体力が中等度以上で、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎
漢方薬と聞くと、葛根湯(かっこんとう)のような体を温める働きの処方を連想する方が多いかもしれませんが、黄連解毒湯は熱を冷ます働きが強い処方です。
このような熱を冷ます働きを持つ処方を「清熱剤(せいねつざい)」といい、冷やすことで炎症や神経の興奮を鎮めます。上記の効能のようなさまざまな炎症症状(皮膚炎、口内炎、急性胃炎、充血、出血症状など)は、体にこもった熱が原因であると漢方では考えるのです。
二日酔いで考えてみると、黄連解毒湯は、お酒を飲んで赤くなる、体が熱くなるタイプの方、特に飲むとすぐ顔が赤くなってしまうアルコールに弱い人に向いています。
飲むと体が温かくなることからわかるように、ほとんどのアルコールは熱性の飲み物です。古来「酒は極寒の冬でも凍ることがない陽性の強いもの」とされ、その性質を活かして薬酒として使われてきました。
ただ、薬酒として飲む量はほんの少し(大さじ1程度)のことが多く、二日酔いするほどの量ではありません。酔っ払っている時点で、許容量をとっくに超えて肝臓に負担がかかっているということになります。
そこで、黄連解毒湯をあらかじめ飲んでおくことで、その熱を中和して肝臓を守り、二日酔いを予防するわけです。
清熱剤は苦いものが多いのですが、黄連解毒湯もとても苦い漢方薬です。
黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)の4つの構成生薬すべてが苦味の強い生薬で構成されていて、どれも強い清熱作用があります。
なかでも、「黄連解毒湯」という名前からもわかるように、黄連のはたらきが主と考えることができるので、黄連の心(しん:主に心臓のこと)と中焦(ちゅうしょう:胃腸のこと)を冷やす作用が強い処方です。
黄連解毒湯は体を冷やすことが目的の処方なので、ほかの漢方薬のようにお湯に溶いて温かい状態で服用する必要はなく、常温の水か少し冷やした水で服用します。そのため、黄連解毒湯単独では冷えがある人には適しません。
また、副作用や注意点としては、山梔子が含まれている漢方薬は、数年以上続けて服用をすると「腸間膜静脈硬化症」のおそれがある、という報告があります。
二日酔いで黄連解毒湯を服用する場合、そもそもあまり長期的に連用することはありませんが、ほかの理由で長めに服用するような場合は、定期的に経過を見ることが大事です。
ほかに、黄芩による「間質性肺炎」の副作用にも注意が必要です。
続いて、五苓散についてです。
飲酒により体に生じた熱が胃におよぶと、胃炎を起こしやすい状態になります。機能が低下した胃は、飲食物を腸へと送ることができなくなります。そして、胃の気が逆向きに噴射すると、悪心・嘔吐が起こります。さらに熱の影響が腸におよぶと、水分の吸収が追い付かず、下痢をしやすくなります。
体が重だるい、むくむ、頭が重い、頭が痛い、めまいや立ちくらみ、気持ち悪いといった症状がある、あるいは口が渇いて水を飲む割にはトイレに行く回数が少ないといった状態を、漢方では「水滞(すいたい)」、または「水毒(すいどく)」と呼びます。
これは、体の中の水分が過剰になっていたり、偏って存在していたりする状態です。その水をさばいて偏在をなくすのが「利水剤」です。
漢方の利水剤が西洋薬の利尿薬と違うのは、必要以上に水を出してしまわない点にあります。ただ水を出しまくるのではなく、体内の水分バランスを適正化し、不要なら排泄し、脱水によって不足しているときには体に水を留めるように働きます。
利水剤の代表格である五苓散は、熱中症などによる脱水時にも有効です。ほか漢方で「霍乱(かくらん)病」に分類される、吐いて下痢する病気(ノロウイルスや嘔吐下痢症をはじめとする感染症)の際に処方されることも多いです。
二日酔いの場合は、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドという毒を体外に出すために水が必要になります。喉が渇いて水をガブガブと飲むわけですが、その余剰分の水により二日酔いの不快な症状が表れます。
特に、もともと体内の水分バランスが偏っていて、体質的に水はけが悪く、「口は渇いているのに、足はむくんでいる」「低気圧になると具合が悪くなる」といった人の二日酔いには五苓散がよく効きます。
五苓散は、沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、桂皮(けいひ)の5つの生薬から成る漢方薬です。桂皮の仲間はスパイスのシナモンで、気の流れを調整する生薬ですが、残り4種類はすべて利水作用がある生薬です。
五苓散の効能のむくみや口渇、下痢、嘔吐、排尿困難は、まさに二日酔いのときにありがちな症状です。そんなときに五苓散を服用すると、トイレが近くなり、どんどん尿が出てむくみが解消します。また口の渇きも徐々に治まっていき、体がすっきり軽くなります。
五苓散によって体内の水の偏在が解消して、水分バランスが整うのです。
今年の秋から冬にかけては寒暖差が大きく、お酒を飲んでいるわけではないのに先述の二日酔いのような症状に苦しむ患者さんも多くいらっしゃいました。水の偏在はお酒だけでなく、気圧や温度差によっても起こるからで、そのような方に五苓散を服用していただくことも多いのです。
五苓散は体質をあまり選ばず、子どもを含め、多くの方に飲んでいただける漢方薬です。
最後は、半夏瀉心湯。みぞおちのつかえ、吐き気、お腹がゴロゴロ鳴って下痢がひどい、という重症の二日酔いにはおすすめです。
お腹がこのような音を立てている状態を、漢方では「腹中雷鳴(ふくちゅうらいめい)」といって、水と熱が戦っている状態であると考えます。消化不良を起こしたときに起こりやすい症状ですので、半夏写真湯は二日酔いに食べすぎが加わったために起こる渋り腹や下痢にも有効です。
半夏瀉心湯は、黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、半夏(はんげ)、乾姜(かんきょう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)の7つの生薬から成る漢方薬です。
先の黄連解毒湯にも入っていた黄連、黄芩には強い解毒作用があります。解毒のほかに、水をさばいて胃の働きをよくする半夏、体力を補う人参、甘草、大棗などが配合されています。
二日酔い以外では、逆流性食道炎や慢性的な吐き気、下痢などの症状で処方します。
飲みすぎ、食べすぎによって、食べたものが胃から食道に逆流して心窩部(しんかぶ:みぞおち)がつかえた感じがする、吐き気がするといったやや症状が重いときに効果的ですが、半夏瀉心湯が必要になるほどの飲みすぎや食べすぎは避けたいものです。
漢方でいう肝(主に肝臓)は、ストレスに弱く、怒りの感情は肝をさらに疲弊させます。感情以外にも、寒暖差や気圧の変動も体にとっては大きなストレスです。
肝が休まる時間帯は丑の刻(午前1~3時)ですから、この時間帯に熟睡するためには、遅くとも日付が変わる前には就寝していてほしいです。理想は午後10時台です。
寒暖差が大きかった今年はただでさえ体が疲れています から、心穏やかに予定を少なめにして穏やかに過ごしたいところですね。

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